10月22日、今から115年前の今日、日本で初めて「図鑑」の名の付く本が刊行されました。
その本とは、村越三千男(東京博物学研究会)著・牧野富太郎校訂による『植物図鑑』。
理科教育や自然観察に欠かせない「図鑑」に、これほど長い歴史があるとは驚きです!
ⅮXの時代に突入し、AI技術の発展によって、図鑑に代わる様々な同定アプリが登場し、
当たり前のように使われるようになりました。便利な世の中ですが、図鑑とフィールドを
行ったり来たりしながら自然や生き物と接してきた私にとっては、少し寂しさもあります。
「形あるものを立体的に捉え、想像力を育む図鑑の魅力をより多くの人に知ってもらう。」
図鑑の日を制定した「絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオ」はこう提唱しています。
子どもたちがわくわくしながら図鑑のページをめくる光景を、ずっと大事にしたいですね。
さて、昨日の記事の続きになりますが、谷底部の湿った林床をササ刈りしていたところ、
茶碗型のキノコを見つけました。キノコは詳しくないので、チャワンタケの仲間?・・
くらいに思って引っこ抜いてみると、なんと一緒にドングリがくっついてきました!
半信半疑で周りの同じキノコも調べてみると、全て朽ちたドングリから発生していました。
小学館の「図鑑」で調べてみると、ドングリキンカクキン(別名ナラミノチャワンタケ)と
いう名前のキノコであることがわかりました。腐ったドングリから生えるものだそうです。
私は初めてお目にかかったので、そのビジュアルに衝撃を受け、すぐに作業の手を止めて
皆さんにも見ていただきました。数や生え方などが一つ一つ違っているのも魅力的です。
そのすぐそばの朽木には、ロクショウグサレキンの仲間がたくさん付いていました。
名前のとおり美しい緑青色の極小キノコで、湿った林の下ではよく見かける顔なじみです。
植物だけとか野鳥だけではなくて、その場所に息づく生命の全てを楽しみ、愛おしむことが
里山についてより深く知ること、味わうことにも繋がります。環境保全活動においても、
生き物的な意味で“誰ひとりとして取り残さない”ことが大切なのではないでしょうか?