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トモエガモ

2月24日、今シーズンも築池にはトモエガモが飛来し、10羽の群れが滞在しています。

長池公園で初めてトモエガモが観察されたのは2018年の冬のこと。

この時とその翌年はたまたま立ち寄っただけのようで、一時的な滞在に留まりました。

長池公園のトモエガモが一躍話題となったのは、群れが築池に飛来し、そのまま長期に

渡って滞在した2020年~2021年の冬。タウンニュースや東京新聞でも取り上げられました。

以来、「今年は来てますか?」と来園者も気にかけるマスコット的存在となっています。

トモエガモは東アジアの狭い範囲のみに分布する世界的に希少なカモで、環境省の

レッドリストにも記載されています。主要な越冬地である韓国では数十万羽単位の大群が

見られるといいますが、日本への渡来数は決して多くなく、2000年代前半までは、

全国の越冬数も数千羽程度と推定されていました。それが2010年代になると、島根県の

宍道湖や長崎県の諫早湾、千葉県の印旛沼などに数万羽単位の群れが飛来するようになり、

その余波なのか、関東内陸部の河川や池沼などでも観察例が増えていきました。

こうした日本へのトモエガモ渡来数増加の要因は明らかになっていませんが、

韓国での越冬個体数に大きな変動が無いことなどから、以前と比べて東アジア全体で

トモエガモの総数が増えたため(回復したため)ではないかと考えられています。


ところで、築池のトモエガモたちは日中の大半を休んだり眠ったりして過ごしています。

これは他の多くのカモ類と同様、主に夜間に採食などの活動を行っているためです。

公園スタッフが、日没後の18時頃に築池から飛び立っていく姿を観察しているので、

夜は昼間の休息や睡眠の場である築池を離れ、どこかへ移動していると思われます。

トモエガモは植物食中心の雑食性といわれており、近隣の樹林地や水辺の草地などで

植物の種子やドングリなどを採食しているようです。

トモエガモの数が、朝になると前日より増えていることがありますが、これはおそらく、

採食場で居合わせた別の個体を引き連れて、築池に戻ってくるからではないでしょうか。

先のスタッフが、朝の出勤前に築池の水際草地でドングリを採食するトモエガモを

観察したそうです。その時の貴重な動画を提供してくれましたので、ご紹介します。

公園の話題からは少し外れますが、今季は多摩川でも珍しい冬鳥が観察されています。

ヒメハジロとアメリカコハクチョウ(コハクチョウの亜種および亜種間雑種)です。

どちらもアメリカ大陸を中心に生息する渡り鳥で、日本国内への渡来数はごく少ない種類。

なぜ、本来の生息域から遠く離れた多摩川まで遥々やってきたのか、推理したくなります。

同じ渡り鳥でも、毎年会える子もいれば滅多に会えない子もいて、楽しみ方は色々ですね!


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