top of page

タイヌビエ

8月6日、広島平和記念日です。核の悲劇が繰り返されないことを心から願います。

夕空に虹が架かった今日、7月1日に移転オープンした多摩市立中央図書館へ出かけました。

噂には聞いていましたが、本当に素晴らしい施設で、サービスの充実ぶりと居心地の良さに

とても感動しました。同じ公共施設を運営する身として、学ぶべき点が多くありました。

親子向けの読み聞かせワークショップに参加したり、郷土資料を読み漁ったりと、

気付けば数時間も滞在し、たくさん写真も撮りましたが、来館者が写り込んでいるものが

多かったので、ここでは割愛します。ぜひ、お近くの方は実際に足を運んでみて下さい!

ところで、工事が行われたばかりの土地では、やはり雑草が気になってしまいます。

やがて他の草に負けて消えゆく運命の、珍しい種類が発生しているかもしれないからです。

ざっと見廻ってみると、オオエノコロ、ホナガイヌビユ、ブタクサなどがありました。

どれもそれほど珍しいものではありませんが、新しくできた環境にいち早く入り込む、

パイオニア的な生態を持つ雑草たちです。そして、ひと際目立っていたのがこちらの雑草。

タイヌビエというノビエの一種です。本来は水田内などのかなり湿った環境で見られます。

国内で見られるノビエは、イヌビエ(変種のヒメイヌビエ・ヒメタイヌビエを含む)、

タイヌビエ、そして、九州以西に帰化するコヒメビエを合わせた3種類が知られています。

(※これらのうち、もっとも身近に見られるのはイヌビエの変種、ヒメイヌビエです。)

3種類の中でもダントツに大きくなるのがこのタイヌビエで、背丈も果実も巨大です。

深緑色をした葉っぱはがっしりして立ち上がり、よく見ると縁がギザギザしています。


タイヌビエは、稲作農家にはよく知られた厄介者です。小さい頃の姿がイネそっくりで

パッと見では全く区別が付かず、大きく育つまで選択的な駆除ができないからです。

気付いた頃には写真の姿でイネを覆って日陰を作ってしまい、甚大な影響を及ぼします。

さらには、イネよりも早く成長し、稲刈り前にはすでに種子を落としているという有様。

これでは嫌がられるのも当然です。こうしたイネへの擬態(なりすまし)は、

水田の雑草抜きによる圧力を長年受け続けたことで獲得した、生存戦略と言われています。

稲作への適応に特化した一方で、水田内でなければ生育できない依存体質ともいえます。

そのため、田んぼ自体が激減した多摩地域では、姿を見ることすら稀な存在になりました。

同様に、水田雑草の多くが絶滅危惧種に指定され、農薬の普及や耕作放棄による乾燥化も

これに拍車をかけているのが現状です。人と植物の関係性のバランスって難しいですね。


最後にホットな話題。タイヌビエは稲作の伝播とともに日本に広がった史前帰化植物と

されています。本種の種子が弥生時代以降のみから出土するという調査結果もあります。

タイヌビエには地域による外見の差(種内変異)が見られることから、この種内変異を

徹底的に調べることで、イネの伝播経路を明らかにしようとする研究が進行中だそうです。

イネの伝播経路については、①中国大陸から直接、②朝鮮半島経由、③沖縄経由などの説が

あり、もしタイヌビエの解析がこの謎を解く重要証拠にでもなれば、見る目も変わる!?

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page