1月24日、今年もケヤキの樹皮めくりシーズンがやってきました。お目当てはもちろん、
樹皮の裏側にできたわずかな隙間で冬越しをする生き物たち。昨シーズンは小学生向けの
プログラムなどでも大活躍だった彼らとの再会を求めて、広場のケヤキを覗いてみました。
(普段、遠くの生き物ばかり撮っているので、ピントがずれていたりするのはご愛敬・・)
まず出てきたのはケヤキ樹皮下で越冬する甲虫の代表選手、ヒレルクチブトゾウムシです。
樹皮めくりでは必ずといっていいほど出会いますが、この体型とつぶらな瞳にやられます。
赤っぽい体のヤドリノミゾウムシもたくさんいました。ケヤキの虫こぶに寄生するらしく、
冬期にここで見つかるのも頷けます。他にもノミゾウムシの仲間が複数確認されました。
「いたっ!」と思わず声を上げてしまったのは、外来種のモンクチビルテントウです。
最初は沖縄に侵入し、そこからぐんぐん分布を北上しているといい、関東でも珍しくなく
なってきました。よく似た模様の在来種、ヨツボシテントウも樹皮下ではよく見ますが、
斑紋の大きさや頭部の色の違いで見分けることができます。どちらも毛深くて可愛いです。
2枚目のお洒落さんは定番種のウスキホシテントウです。小さくてもとても目立ちます。
3枚目はヨツモンヒメテントウ。名前は“四つ紋”ですが“二つ紋”の子もいるのです。
バラエティ豊かなテントウムシ探し。樹皮めくりの醍醐味といっても過言ではありません。
集団で存在感を示しているのはカメムシの仲間。カメムシらしからぬ極小サイズですが・・
翅先にブーメランを背負っているように見えるクロハナカメムシと、カメムシと言われても
あまりピンとこない不思議な恰好をしたヒメコバネナガカメムシが、ここの二大勢力です。
珍しい子を見つけました。シベリアカタアリの女王アリです。模様はシベリアカタアリ、
でもやけに大きくて胸部が隆々としているなと思って調べると、女王アリだったのでした!
樹皮下なら風雨や鳥からの被食も防げて安心!と思ったら、実際はそうでもありません。
やはり、樹皮下には樹皮下専属の捕食者がいるのです。写真はキハダカニグモの雌。
薄っぺらい体とこの見事な擬態の術を利用して樹皮下で待ち伏せし、虫などを捕食します。
数本のケヤキを、これほど多様な生き物たちが拠り所にしているって凄いと思いませんか?
身近な自然を相手に、そこに広がる“無限の世界=生物多様性”を見出し、その面白さや
価値を伝えること。これが私の務めでもありますので、時には今回のように閲覧注意な
ゲテモノ諸君も登場しますが、どうかご容赦下さいね!(※生物多様性教育の一環です笑。)
毎日、誰かに教えたくなるような“無限の世界”をワクワクしながら探しているのです。
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