5月10日、各地の雑木林で、シソ科のオカタツナミソウが花盛りを迎えています。
オカタツナミソウは、この仲間ではもっともよく見かける種類。一つ一つの花が大きくて、
本家のタツナミソウのように花序が縦長になることはなく、寸詰まっているのが特徴です。
先週アップしたタツナミソウと比べてみて下さい。茎の色や毛の向き、上のほうに付く
葉の大きさなども異なっています。生育環境も、こちらはやや薄暗い所を好むようです。
さてこの日、午前中は市内北東部の民有緑地で調査のお仕事でした。綺麗に手入れされた
雑木林の樹林下には、マルバヌスビトハギが一面に群生し、オケラやイチヤクソウなども
生育していました。多摩丘陵では少ないマルバヌスビトハギですが、日野市との市境付近の
雑木林には点々と分布しています。名前の通り、葉は丸っこくて全体に毛が多いのが特徴。
そのすぐ近くの畑では、環境省準絶滅危惧種にも指定されているコイヌガラシの群落が
健在でした。この生育地は、2011年頃、八王子市史編さんの調査の折に見つけたものです。
その後、なかなか機会が無かったのですが、思いがけず、十数年ぶりに再訪することが
できて幸運でした。当時のことなどが思い出されて、とても良い時間を過ごしました。
午後からは別所小学校5年生のみんなが長池公園に集まりました。目的は、田んぼの見学と
ペットボトルで稲を育てるための泥土取りです。かつて多摩地域で営まれていた自給自足の
暮らしの話から、谷戸田の仕組み、年間の作業内容、生息する生き物にいたるまで、実際に
田んぼを見学しながらレクチャーしました。後半は第二デッキへ移動し、カエルの産卵池を
堀り込んだ際に積み上げてあった泥土を、各自が持参したペットボトルに採取しました。
先生をはじめ、子どもたちのリアクションがとても良く、私にとっても楽しいひととき。
実際に田んぼでの体験学習ができなくても、支援の方法はいくらでもあると感じました。
もちろん、道中は自然観察も忘れません。一番盛り上がったのはやっぱりチャタテムシ・・
写真は順に、オバボタル、アシナガコガネ、ヨツモンカメノコハムシ、ヤマトフキバッタ
トホシテントウ、シランの花粉塊を背負ったハナバチの仲間、カキノキ、エゴノキです。
見どころいっぱいの長池公園。自然観察ではないプログラムを実施していても、やはり
その日その瞬間の自然の旬を味わってもらいたくて、ついつい観察に走ってしまいますね。
おまけ。夏緑性のシダ植物、ナツノハナワラビとナガボノナツノハナワラビが見頃です。
前者は園内各所にありますが、特にながいけの道入口の水飲み場付近の株は立派です。
後者は個体数が少なく、写真の株は自然館第二駐車場を出て、中央園路を左に少し進んだ
右手谷側にあります。ちょうど、自転車止めが置かれている辺りで園路からよく見えます。
両者とも年々見られる場所が増えているので、皆さんも身の回りでぜひ探してみて下さい!