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やっと会えたね

更新日:5月6日

4月30日、調査の仕事等で千葉市内の開発予定地と葛飾区の荒川河川敷をハシゴしました。

特に荒川河川敷では様々な珍しい植物が観察されましたが、思いがけず、以前から見たいと

思っていた外来雑草を発見することができて感激しました。それがこのクサビガヤです。

「こんなものどこにでもありそう・・」という声が聞こえてきそうですね。私にとっては

念願の植物であり、これと雰囲気の似た普通種のオオスズメノカタビラを何本も調べては

その度にがっかりしてきたのです。実物は遠目からでも特徴がはっきりしていて、詳しく

調べる前にビビッときましたが、しっかり細部の特徴、特に小穂の第二苞頴が倒卵形である

ことなどをチェックして確信することができました。なお、オオスズメノカタビラの属する

イチゴツナギ属(Poa)とは別属なので、他人の空似ということになります。イネ科の植物

自体がみんな同じに見える中で、たくさんの雑草たちを見て観察の精度が上がってくると、

一つ一つの種類が全くの別人に見え、さらに初対面の種類ともなるとドキドキするのです。

クサビガヤの別名はミゾイチゴツナギモドキ。大丈夫、全然似ていないから安心してね!

こちらは事前に生育しているとの情報を得ていたもので、アブラナ科のハリゲナタネです。

アブラナ科はそれはそれは外来種のオンパレードで、野菜や油脂原料、牧草、鑑賞用など

様々な用途で国外からもたらされ、しかも大半が野生化しています。似たものどうしが

多くて種名を特定するのは一苦労なのですが、ハリゲナタネはその名のとおり、茎や葉柄に

針状の毛がびっしりと生えていて一目で同定できます。トゲトゲの菜の花なんて面白い!

千葉市内の調査で見たものも含め、この日観察できた外来雑草の一部を写真で紹介します。

キバナヤセウツボ、オキジムシロ、ウサギアオイ、ムラサキウマゴヤシ、ホソエガラシ、

マツバゼリ、マメカミツレ、ミツカドネギ、ムギクサ、ヒゲナガスズメノチャヒキ、

トウキ、アメリカオオアカウキクサ(外来アゾラ)です。外来種ばかり・・お腹いっぱい。

東京では減少傾向にある湿地性の在来植物もいくつか所在を確認できました。ウキヤガラ、

ハリイ、ミコシガヤ、ミゾコウジュ、タコノアシです。イトトンボ類も多数見られました。

区部の沖積低地を歩くといつも思うことですが、東京都は広大です。南多摩エリアを離れ、

たまには未踏査の地域を歩いて、知られざる植物の産地を探索していきたいものですね。

おまけ。調査中に出会った昆虫たちです。午前中の調査は企業の皆さんの現場研修も兼ねて

いたので、虫を手に乗せたり、草花遊びを教えたりと、楽しみながらの道中となりました。

順に、クズノチビタマムシ、ヒラタアオコガネ、キマダラミヤマカミキリ、ヤブキリ、

ブチヒゲカメムシ、ヒシモンナガタマムシです。この日の“もう一つの主役たち”でした!


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