ため糞観察と雑草片手に出張授業
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 7月6日
- 読了時間: 2分
7月3日、午前中は市内の民有緑地の調査に出かけてきましたが、そこで出会った光景です。
傾斜地の林床に、緑のマットが広がっていました。その合間には黒っぽい糞のようなものが
見えます。これはホンドタヌキの“ため糞”、すなわち公衆トイレです。植物調査で藪を
漕いでいると“ため糞”自体にはあちこちで見かけるもので、珍しいものではありません。
しかしながら、この時期は糞に含まれている植物の種子が一斉に発芽してくるので、思わず
足を止めて観察してしまいます。写真の緑のマットこそが糞中から発芽してきた植物です。
芽生えていた植物は、イチョウ、カキノキ、クマノミズキなど。特にイチョウやカキノキは
林内に自生するものではないことから、街路樹や庭木の下で食べ漁ったあとに、この場所へ
移動してきて糞をしたことがわかります。糞から、タヌキの行動圏まで予想できるのです。
周囲にはヒメヤブランが咲いていました。ヤブランより花期が早いので見逃しがちですが、
長池公園でも自然館周辺や体験ゾーンなどでひっそりと咲いているので探してみましょう。
また、調査地の一角には黄色いお花畑が広がっていました。こんな時期にいったい何の花
だろうと不思議に思って近付いてみると、クサノオウでした。クサノオウ自体は普通種なの
ですが、こうした光景は新鮮ですね。3枚目はアブに襲われたアカコブコブゾウムシです。
さて、午後からは別所小学校おおぞら学級の定例プログラムで出張授業を行ってきました。
暑さのため子どもたちの来園が難しく、急遽、特別に教室へ赴いての授業となったのです。
そこで事前に身近な雑草をいくつか採取して持参し、「図鑑の上手な使い方」をテーマに、
似たものどうしの植物を取り上げて間違い探しをしました。比較観察の対象とした植物は、
シロツメクサとムラサキツメクサ、オオバコとヘラオオバコ、ブタナとコウゾリナです。
実際に植物を見たり、触れたり、匂いを嗅いだりして、違うところを探してもらいました。
後半は見つけた違いをいっぱい発表してもらったのですが、独特の素敵な表現も飛び出し、
これだけでもオリジナル図鑑が完成しそうな成果が得られました。素晴らしい観察力です!
最後に、七夕に因み、文字が書けるタラヨウの葉っぱをプレゼントして終了となりました。どんな願い事を書いてくれるでしょうか?・・私にとってはみんなとの雑草観察を通じて、
“子どもたちの発見と気付きで黒板を埋め尽くす!”という夢が一つ叶った一日でした。